三椏(みつまた)はジンチョウゲ科の落葉低木。
枝の先がその名のとおり、「3つ又」にわかれます。
その木の皮の白いところが紙になります。
中四国で紙幣用にたくさん栽培されていますが、伊豆や鎌倉、東京でもよく見かけます。
三つ又、三つ又に枝分かれし、末広がりのまあるいきれいな樹形になること、花の少ない寒い季節に愛らしい花を咲かせることから、庭木にされることも多いようです。
繊維が細く、つやがあり、あたたかな生成り色。きめのこまかい、やわらかな肌合いの紙。
紙幣の原料に使われることからもわかるように、三椏紙は印刷適性にたいへんすぐれています。
家庭用のインクジェット・プリンタでも、写真やイラストをインクのにじむことなく美しく印刷できます。
にじまず、なめらかな書き心地で、筆、ボールペン、万年筆、サインペン、どんな筆記具でもすべるように書くことができます。
和紙の3大原料、楮(こうぞ)、三椏、雁皮(がんぴ)、のうち、三椏だけを漉いている紙漉きは多くありません。
工房ちどりでは、国産(島根、高知など)の三椏を、混ぜものせず、100%で漉いています。
三椏の、三椏らしさを最大限に活かせるように心をくばって作っています。
さくら色、あさぎ色、ひわ色…染料で淡く染めて、やわらかな色調の紙も多数作っています。
どんなに文章をつらねるよりも、なにはともあれ、まずはぜひ、その手で三椏紙のさわりごこち、使いごこちをどうぞたしかめてみてください。
和紙ってこんなのもあるんだ、と、ちょっと目からウロコです。