1. 原木の刈り取り

株を残し、枝を刈り取ります。株を残しておくことでまたそこから新芽が出て、同じ株から十年以上原料を採り続けることができます。

2. 皮剥ぎ(かわはぎ)

枝を束ねて蒸し、熱いうちに皮を剥ぎます。
天日に干し、乾燥させて保存します。

3. 黒皮しじり(くろかわしじり)

皮をいちど水につけて柔らかくもどし、包丁で一本一本、黒皮と甘皮をこそげ落とし、白皮だけにします。
天日に干し、乾燥させて保存します。

4. 煮熟(しゃじゅく)

白皮を一晩水につけて柔らかくもどし、ソーダ灰か、草木灰の灰汁を入れて数時間煮ます。
ソーダ灰は食品添加物としても使われる安全なものです。

5. あく抜き

煮上がったばかりの皮はあくで茶色い色をしています。
水を何度も張り替えて、あくを洗い流します。
あくが抜けると、皮はきれいな生成り色になります。

6. ちりより

皮についている汚れやキズ、固いところをよりわけ、ひとつひとつ手で取り除きます。

7. 叩解(こうかい)

字のごとく、たたき、ほぐす。
長い状態の皮を、繊維一本一本がばらけるようにします。
できあがったものを「紙料(しりょう)」といいます。

7.5. ネリを出す

トロロアオイの根っこを叩き、水につけておくと粘りのある液が出ます。
これがネリ。木綿の袋で濾しとっておきます。

8. 紙を漉く(かみをすく)

漉き舟に「水」「紙料」を入れ、よく撹拌します。
次いで「ネリ」を入れ、よく撹拌します。
漉き桁(すきげた)に漉き簀(すきす)を挟み、紙を漉きます。

漉いた紙は板に伏せ、数十枚から数百枚重ねていきます。これが紙床(しと)。

9. 圧搾(あっさく)

たくさん水を含んでいる紙床を一晩から半日かけて、ゆっくり絞ります。
上からすこしづつ圧をかけていきます。

10. 乾燥(かんそう)

紙床から一枚づつ紙をはがし、大きな板に刷毛で貼り付け、椿の葉でこすって、天日に干します。
干し上がった紙は板からはがします。

11. 検品、加工

できあがった紙を検品し、そのままで販売したり、封筒や便箋の形に裁断・糊付けなど加工したりします。